太鼓という構造の楽器を「膜鳴楽器」と楽器分類学で呼ぶことがある。
このザックス=ホルンボステル分類法によると、ピアノは弦鳴楽器に分類される。
他に、シンバルは体鳴楽器、フルートは気鳴楽器、テルミンや電子○○系は電鳴楽器なんて分類になるのだ。
楽器の振動源(振動体)でカテゴライズしようというものだろう。
この分類法だと、同じ鍵盤楽器でも
ピアノは弦鳴楽器
エレクトーンは電鳴楽器
パイプオルガンは気鳴楽器
ということになるのだ。
パイプオルガンは鍵盤で操作できるようになっていはいるが、その音源はいっぱい並べた「でかい笛(の中の空気)」なので気鳴楽器になる。
で、永井の大好きなタイコの振動源(振動体)は「皮(ヘッド)」、つまり膜だから膜鳴楽器と呼ぶのである。
そう、太鼓の振動は、ピアノやギターやバイオリンのような「線の振動」ではなく、「面の振動」なのだ。
この面(ヘッド)の振動を、胴(シェル)に共鳴させ、響きを増幅させる構造の楽器を「太鼓」と呼ぶのである(うちわ太鼓のように胴を持たないフレームドラムもあるが)。
この面の振動はとても複雑で、様々な音を含んでいる(きれいな整数倍にならないから倍音とは呼べないだろうけど)。
だから、例えばラテンパーカッションのコンガなんかは、皮一枚で低い音から高い音まで、叩き方によって様々な音を引きだす事ができるのだ。
また、胴の形を変えることで、例えば中東のダラブッカやアフリカのジャンベ(東南アジアにもあるみたいだけど)といった砂時計型の胴の場合は、「ドゥーン」という良く伸びる低音と甲高い高音を一枚の皮から取り出すことができる。
ティンパニが正確な音程を作り、きれいに音が伸びるのも、その胴(釜)の形によるのだと言う。
今回はなかなかにマニアックな話である。
永井はこの面の振動、膜の振動にぞくぞくする生態をもつ生き物なのである。
あぁっ、何年経っても飽きないこの響き!
膜振動たまんねぇっ!!
そう、永井は膜振動フェチなのである。
線を打つピアノの音も良いが、面を打つ太鼓の音も良いものだ。
私からすると、どんな膜振動も愛おしい。
それこそ、100均の洗面器にレジ袋をセロテープでピンと張るだけも即席の太鼓はできあがる。
ボンゴを叩く要領で、縁(エッジ)のあたりを軽く叩いてみよう。
ボーン、ボーン♪
洗面器とレジ袋でこんな音を引き出せるのかっ?!
と、びっくりするくらい膜振動の音を作り出せることが分かるだろう(すぐダメになっちゃうけどね)。
この工作はオススメである。
ピアノ教室でも、例えば夏休みの特別イベントで、こうした手作りタイコをみんなで作るのも面白いと思う。
たぶん、ピアノの音を聴く耳も多少変わる体験になるんじゃないだろうか。
こういうお楽しみイベントをやったら、ホームページを作成しているピアノ教室さんは、ブログに書くこともお忘れなく。
楽しそうなピアノ教室だと、ホームページの訪問者にきっと思ってもらえることだろう。
ホームページでピアノ生徒を集めるには、こうしたイベントのアピールも大事なのである。
ということで、今回は永井イチオシの膜振動について、熱く語ってみた。
洗面器とレジ袋の即席タイコもお試しあれ。