コロナ禍で世の中のDX(デジタルトランスフォーメーション)が急速に進み、リモートでできる仕事が広がったことで、地方へ移住したり、地方移住を検討する人が増えるようになった。
私もそんなコロナ移住組の1人である。
私の場合は2021年5月に、世田谷から厚木に移住した。
地方移住と言うよりは、郊外移住と呼ぶべきか。
距離で見ると大して動いていないが、厚木に引越して早3カ月、日々の暮らしは劇的に快適になった。
今回は、このコロナ禍で移住を検討している方への1つの参考情報として、私の場合の話、つまり移住先に厚木を選んだ理由と、実際に移り住んでみての体験談を紹介していこう。
世田谷を出た理由
まず、厚木を選んだ理由の前に、世田谷を出ることを決めた理由から話していこう。
これは言わずもがな、東京にいるメリットが無くなったからだ。
私の仕事は個人のピアノ教室さん向けにホームページを作成したり、ピアノ生徒のウェブ集客をサポートしたりなので、コロナ前から既にほぼリモートワークだった。
オフラインで移動するのは、月に1回新宿で開催していたセミナーと、楽器店などで開催されるピアノ教室の先生向け講座でHP生徒募集のお話の依頼を頂いた時ぐらいだ。
そんな元々少ない機会だったオフラインのイベントも、コロナを機にZoomが普及したことでセミナーは完全にオンラインに移行、楽器店の講座等もめっきり開催されなくなり、私は直接的な仕事で移動することがゼロになったのだ。
他に、コロナ前に世田谷にいることで享受できたメリットとしては、セミナーや塾への参加が容易だったことだ。
私は恵比寿や五反田、品川で開催されるセミナーや塾に頻繁に通っていたので、そこは便利だった。
だがそれらもやはりZoomに移行したことで、体を移動させる必要がなくなったのだ。
私はほとんど電車に乗らなくなり、徒歩と自転車で移動できる生活圏内のみで暮らすことになった。
近所のスーパーで買えないものはAmazonで買えばいい。
こうして、世田谷にいる必用がゼロになったので、世田谷を出る事を考え始めたのである。
まずは移住先の候補選びと選別
世田谷を出ることを決めたら、次はどこに移住するかだ。
ネット環境さえあれば仕事はどこでもできる。
候補は北海道から沖縄まで、選び放題なわけだ。
この妄想タイムは楽しかった笑
山奥で毎日山を眺め、温泉に入れたらいいな
港町で毎日海を眺め、美味しい魚を食べるのもいいな
美味しい野菜や果物が豊かな地域もいいな
夢は広がる。
そして実際いくつかの候補地を挙げて、その土地について調べてみたりもした。
北海道、群馬、長野、富山、湘南などなど
次は実際にその土地で生活することをイメージしてみるのだ。
するとどうだろう。
物事のメリットには大抵、表裏一体のデメリットがつきものである。
ガチの田舎や山奥はやだな、スーパーやコンビニは近くに欲しい
潮風はやだな、洗濯物が生乾きで潮臭いとか耐えられない
雪国はやだな、移動が億劫になるし寒いの嫌いだし
いざって時は東京に出られないとな、親戚も友達もみんな東京と埼玉だし
といった具合に「あれはやだ」「これもやだ」が次々と出てくるのだ。
めんどくさいヤローである。
移住先に厚木を選んだ決め手は「絶妙にバランスの取れたポジション」
で、最終的に厚木を選ぶことにしたのだが、その決定的な理由が、絶妙なバランスの位置にあることだ。
「ほどよい田舎具合」とも言えよう。
単に郊外というだけでなく
西に行けばすぐに丹沢山地の山々
東に行けばすぐに広大な相模川
南に行けばすぐに湘南の海
と、海あり山あり川あり、そして温泉ありなのだ。
かといって、潮風の吹き付ける海沿いでもなければ、不便な山奥でもない。
しかもいざ都内に出ようと思えば1~2時間で行けるアクセスの良さ。
遠出をしようと思えば、東名高速と圏央道がすぐそこだ。
このように厚木は絶妙にバランスの取れたポジションにあるのだ。
※ただしこのメリットを享受するには車が必要。
実際に厚木に移住して3カ月暮らしてみた感想
今の時点で私が厚木に移住してから3ヶ月半がたった。
5月に引っ越してきて、ひと夏を過ごしたところだ。
実際に厚木で生活してみてどうかと言うと、すこぶる快適である。
実際、車で1時間もかからずに、山の方の温泉に入れたり、湘南の海を眺めて美味しい魚を食べたりと、豊かな休日を過ごせている。
そしてこれは実際に生活してから実感してきたのだが、近所の田舎具合も本当に良い。
休日に車で出かけるだけでなく、例えば毎朝の仕事前の散歩だ。
夏には子どもたちが川遊びが出来るような川沿いの散歩コースがすぐ近所にある。
広々とした川沿いを、水の音や風を感じながら毎朝散歩ができるなんて大変な贅沢だと思う。
何より、私が都内から引っ越してきて一番感激したのは「空の広さ」だ。
郊外や地方であれば当たり前なのかもしれないが、川沿いの土手周辺には高い建物がない。
この広い空、美しい空を、川の音、吹き渡る風と共に満喫できるのだ。
川沿いをしばらく歩くと田園地帯だ。
1ヶ月くらい前はみどりの稲が綺麗だったが、最近は黄金色の美しい稲穂の波を堪能できる。
遠くに目をやれば丹沢山例の山々。
私は海なし県埼玉の朝霞という、関東平野のど真ん中で育った。
海なし山なし温泉なしである(最近は近隣にスーパー銭湯はできてるみたいだけど)。
関東平野の人間にとって「山=旅行」なのだ。
旅行に行った時にしか見られないもの、それが山である。
だからね、山が見えるだけでもう旅行気分なんですよ。
海もそう。
埼玉県民にとって、山と海はウキウキ夏休みの象徴なのだ。
こんな旅行に来たような環境で、毎朝仕事前に散歩をすることができるわけだ。
しかもタダで、何一つ生活に不自由なく。
こんな贅沢はないと思う。
私はまだ夏しか過ごしていないが、秋の紅葉や春の花々も楽しみである。
私はやらないが、釣りをする人にとっても相模川は良いかもしれない。
そうそう、自然環境も良いが、生活環境も快適だ。
これはどこの郊外都市もそうかもしれないが、スーパーでもホームセンターでも飲食店でも、大型のお店が多く、普通に便利で暮らしやすいと思う。
厚木のデメリットは?
では逆に、厚木に移住するデメリットは何かない?かと考えてみよう。
私は今のところ特に感じてはいないが、こういうのは、私が感じている魅力を何とも思わない人もいれば、私が何とも思っていないことを欠点だと感じる人もいると思うので、一概には言えないところだ。
万人に言える事としては、ガスがプロパンガス(LPガス)という点だろうか。
これまた生活感のある話だが、厚木はまだまだプロパンガス(LPガス)の家が多いのだと不動産屋さんが言っていた。
ウチも築10年ちょっとのマンションだがプロパンガス(LPガス)だ。
一般にプロパンガス(LPガス)は都市ガスよりも高いと言われる。
実際ひと夏過ごしてみたが、夏場のガス料金としては、都市ガスだった世田谷の時の倍くらいになった。
年間を通すと恐らく数万円の差になるので、そこは残念な点だが、一方で家賃は世田谷と比べ補って余りある安さなので、私としては大した問題ではない。
他には、これは人によるだろうが遊興施設やお買い物の施設が乏しい点だろうか。
生活のためのお店は充実しているのだが、遊ぶ、楽しむとなると厚木市内はパッとしないかもしれない。
私のように、山や空や田んぼを見るだけでウッキウキになれる安上がりな人、インターネットがお友達という人には良いだろうが、人によっては「何もないつまらない所」と感じるかもしれない。
お買い物施設という点では、隣町である海老名のららぽーとが良いらしい(まだ行ったことないけど)。
相当大きな建物で、ブランド品のお店なんかもたくさん入っているようで、ここは楽しめそうである。
あとは、デメリットというよりリスクだが、水害の可能性は否めない。
河川の氾濫というやつだ。
厚木近隣は相模川を筆頭に、荻野川、小鮎川など、河川が多い。
国土交通省のホームページによると
相模川の洪水被害
明治治以降の大洪水としては、明治40年(1907)洪水が最大規模の洪水で、厚木市を中心とする相模川流域の市街地は、壊滅的な被害を受けました。また、近年においては、昭和57年(1982)に被害の大きな洪水が発生しています。
↑とあり、やはりたまに洪水があるようだ。
ましてや昨今の気象事情である。
100年前に壊滅的な被害って、割とザラって事なんじゃないかという気がしてしまう。
実際うちの辺りも、厚木市のハザードマップによると浸水区域に入っていると不動産屋さんが教えてくれた。
最近は法律が変わって、不動産屋が物件の仲介をする時は、こうした災害情報や避難所の情報を重要事項の説明で告げることが義務付けられているらしい。
確かにこれは重要事項だ。
私が考える厚木移住のデメリットとしてはこれぐらいだろうか。
あ、そうそう。
あとたまに朝、風向きによっては家畜くさい日がある。
朝の清々しい空気で室内を換気しようと窓を開けた時に、家畜くさい匂いがして若干萎える事がたまにある。
良い移住ライフを
とまぁ、厚木移住についていろいろと語ってきたが、いかがだったろうか?
どこがベストかということは、それぞれの人によるだろう。
私としては、こうして厚木に引っ越して生活してみると、世田谷での生活は本当にチマチマしていた(私はね)と感じる。
住環境が変わるだけで、これほどまでに生活の質が激変するものかと驚いているところだ。
コロナを機に、地方移住、郊外移住を考えている方はぜひ積極的に検討して、素敵な新生活をゲットしてほしい。