久々に気ままに語っていく。

この一か月あまり、本コーナーではおさぼりが続いていた。

9月の会社設立後の諸々の手続きや移行作業に追われていたためだ。

そんな会社設立による個人事業からの移行作業の一つとして、このホームページのドメイン移行も行なった。

個人事業の頃に取得したドメインには、がっつり個人事業の屋号を付けてしまっていたので、会社化した後は使えないだろうなとは前から思っていた。

じゃあ会社のドメインとして何を取得するかと言うと「.co.jp」である。

「.co.jp」は日本の法人だけが取得できるドメインで、1つの組織につき1つの「.co.jp」しか取得はできない。

つまり今までの個人事業時代は取りたくても取れなかった、「会社の証」であるドメインだったので、どうせならこれを取得することにしたわけだ。

ドメインを変更するとなると、気になるのは検索順位であろう。

取得直後の新品ドメインは、検索エンジンの評価ゼロの赤ちゃん状態である。

当然検索順位は圏外からスタートすることになる。

しかし今回のように、以前から使っていたドメインがあって、古いドメインを新しいドメインに変更する、というような場合には、古いドメインの検索エンジンの評価(ページランク)を 新しいドメインに引き継がせる(転送する)手段がある。

検索エンジンに対して「このドメインはもう使わないことにして、こっちの新しいドメインにお引越しをしたよ」ということを伝える方法があるのだ。

「301リダイレクト」と呼ばれるものである。

この方法は私は普段はあまり口にしないようにしている。

というのは、この301リダイレクトを設定するには、そのホームページを置いているサーバーに入って、 htaccess(エイチ・ティー・アクセス)というファイルにコードを追記する必要があるからだ。

このhtaccessの編集は細心の注意が必要なので、こういうのに慣れないピアノ講師さん(慣れてる人なんてそうそういないだろうけど)は極力触らないほうが良い。
安易に触って事故を起こしてしまうといけないので、私はこの手法の存在をあまり口にしないことにしている。

もしhtaccess編集する時はよく調べてバックアップを取った上で、自己責任で行ってほしい。

また、このサーバーに入って htaccessを編集する作業があるため、JimdoやWixといったホームページ作成サービスでは301リダイレクト設定することはできない(もしできる仕様にしてもユーザーの流出を招くだけなので今後もできるようになる事はおそらくないだろう)。

WordPress のホームページの場合は、プラグインを使って301ダイレクトをすることもできるようだ。

さて今回、私のホームページのドメインを、個人事業時代の「.com」から会社用の「.co.jp」に移行するにあたっても、この「301リダイレクト」を設定している。

私も普段からしょっちゅうピアノ教室のホームページを作成してはいるが、なかなかこの301リダイレクトをする機会というのは頻繁にあるものではないので、自分のホームページで気兼ねなく人体実験ができるのはなかなか面白い体験だ。

「実際どんな風に検索順位が変わっていくんだろう?」

というのは私のような SEO オタクには興味津々なテーマである。

今日の時点ではまだ301リダイレクトを設定してから5日しか経っていないが、早くも面白いデータが取れている。

どうやら ページランク の移行は、ある程度の期間を経て行われるようだ。

そしてすべてのキーワードの順位が同時に移っていくのではなく、先に移っていくキーワードと、後に移っていくキーワードといろいろあるようだ。

また特定のキーワードの順位にしても、旧ドメインから新ドメインへ一気にバサッと移るというよりも、小分けと言うか、何日かに分けて徐々に移行していっているように見える。

最近は聞かなくなった SEO 用語として昔「リンクジュース」という言葉があったが、この301リダイレクトによる検索順位の移り変わりを見ていると、まるでこのリンクジュースという概念のように、100あった評価が、80:20、50:50、30:70 と、日を追うごとに徐々に新しいサイトへ流れ込んでいくかのようで面白い。

なのでしばらくは検索結果には、インデックスに残っている古いドメインで表示されるページと、新しいドメインで表示されるページが並走していくようである。

ただ古いドメインのページがクリックされても、一瞬で新しいドメインのページにリダイレクトされるので、ユーザーは検索結果の URL を注意深く見ていない限りは、古いドメインをクリックしたことは気づかないだろう。

古いドメインのページがクリックされ、新しいドメインに301リダイレクトされた時の Google アナリティクスのカウントはどちらにつくのかというのも興味深いところだろう。

これはどうやら新しいドメインの方でカウントされるらしい。

検索結果にはまだまだ古いドメインで表示されていたであろう最初の数日の間にも、旧ドメインのアクセス数はほぼゼロになり、代わりにそれ以前とほぼ同数のアクセスが、新ドメインの Google Analytics でカウントされるようになったのだ。

ほうほう、こうなるのかと、面白いデータである。

ちなみに、旧ドメインからの301リダイレクトの設定をどれくらいの期間残しておくかについてだが、 Googleの有名なスタッフであるジョン・ミューラー氏は 「普通は最低でも1年をすすめる」というコメントを2019年の1月に自身のツイッターで出しているようだ。

旧ドメインのページランクの移行期間として、完了するのに1年ぐらいかかる場合がある可能性もあるということだろう。

301リダイレクトと似たような手として、 canonical タグを使ってURL の正規化を行う手法も知られているが、私が以前ある団体のホームページでこの canonical タグを使ってドメインの変更を行った際は、確か2~3ヶ月程度で、ほぼ完全に新しいドメインへ評価が移ったように見えた記憶がある。

ここ数日の301リダイレクトによる変遷を見ている限りでは、1年もかかるようなペースにはとても見えないが、部分的にはそういう可能性もあるということなのだろう(サイトの規模にもよるのかもしれない)。

まあまだ始めたばかりなので、これからどうなっていくのか楽しみだ。

当面の間は毎朝、数字の変化をニヤニヤ眺めることになりそうである。