辻井伸行さんの卒業校として一般にも知られる上野学園が廃学になるらしい。
2021年度から生徒募集を止めるらしく、在校生には、私の母校でもある武蔵野音楽大学への転入も勧められたりしているようである。
去年の7月に学生たちにZoomで告知されたそうだ。
タイミング的にコロナ倒産かと思いきや、もうだいぶ前から経営的には色々あったようだ。
音楽大学も倒産する時代なのである。
音大の破綻と聞いて思い出されるのが、『「音楽教室の経営」塾①②』著者の大内孝夫先生だ。
私の卒業後、武蔵野音大の就職課に来られ、コロナ前は特に私も随分かわいがって頂き、とてもお世話になった先生である。
先生は去年武蔵野音大を退職され、現在は名古屋芸術大学で教授として教鞭をとられている。
コロナ前はよく先生に飲みに連れて行って頂いたものだが、そんな時に先生はよく、音楽大学の経営について危惧されていたのを思い出す。
上野学園に限らず、音大の生徒は減っている。
この夫婦共働きの時代、音大に行っても仕事がないからと、音大への進学を渋る方が増えているからだという。
だからいつまでたっても生徒が集まらない。
この流れはピアノ教室業界においては、講師の高齢化を意味するともいう。
昔と比べて、音大出身者の供給量が明らかに減っているので、ピアノ講師の高齢化とともに、ピアノ教室業界の先細りが懸念されるのだ。
「なんとか、音大の卒業生を食わせなければならない」
大内先生は、武蔵野音大の就職課時代からこうした使命感をもって執筆活動を続けてこられ、私もこれに大変共感している。
少子化の時代でもあるし、ピアノ教室の生徒が増えないと悩んでいるピアノ講師さんも多い。
どうしたらピアノ生徒が増えるのだろう?と悩んでいるピアノ講師さんのために私はピアノ教室ホームページを作成して、生徒の集め方を教えている。
私は、この仕事の本質は「音楽の普及」だと思っている。
間接的に、そして微量ではあるが、ピアノを習い、音楽の愛好家となる人たちを増やしていくことも、私は自分の使命だと思っている。
上野学園廃学は、そんな私の仕事に対する姿勢も、改めて襟を正したニュースであった。